ニホンミツバチに似た蜂の紹介【西洋ミツバチ、ヒゲナガハナバチ】

同じ“ミツバチ”でも、日本と西洋では見た目も性格も大きく違います。
今日は、日本ミツバチと西洋ミツバチの生態の違いを4つのポイントで比較していきましょう。


① 見た目の違い

まずは見た目です。

西洋ミツバチは黄金色でふわっとした毛並み。
一方、日本ミツバチは黒っぽく、落ち着いた色合いです。
大きさも少し小柄で、野山の花に自然に溶け込みます。

ニホンミツバチに似た蜂に「ヒゲナガハナバチ」がいます。
微妙に翅に違いがあるのですが、メスに関してはニホンミツバチと瓜二つ
オスの方がヒゲ(触覚)が全長くらい長く見分けがつきます。


② 生態の特徴比較

西洋ミツバチは採蜜量が多く、人間による飼育に適しています。
性格は比較的おとなしく、同じ巣に長く定住します。

日本ミツバチは、採れる蜜の量は少なめですが、高温多湿や寒さにも強く、自然の環境に適応。
ただし、警戒心が強く、時には巣ごと引っ越してしまうこともあります。

ヒゲナガハナバチは、ミツバチと違い集団で行動しません。また、巣も地面に作りますので見た目以外はミツバチと異なる点が多いです。

項目ニホンミツバチ西洋ミツバチ
採蜜量少ない(年間数kg)多い(年間数十kg)
性格警戒心が強く逃亡しやすい比較的おとなしい
巣作り木の穴など自然環境に適応管理箱に安定的に営巣
気候耐性高温多湿や寒冷に強い温暖で乾燥した環境が得意



③ 特殊行動の紹介

熱殺蜂球

日本ミツバチ最大の必殺技が、熱殺蜂球。
外敵のスズメバチを、仲間で囲んで体温を上げ、内部をおよそ46度にして仕留めます。

分蜂

春から初夏にかけて、群れが二手に分かれる“分蜂”も特徴的。
巣箱から一斉に飛び立つ光景は圧巻です。

シマリング

外敵が近づくと、腹部を一斉に持ち上げて波のように動く“シマリング”を行います。
このとき『シャーッ』という音を出して威嚇することもあります。

シャーの正体
・腹部を持ち上げる動作と同時に、翅を小刻みに震わせる
・空気の振動で擦れるような音が発生
・視覚的威嚇(波状動作)+聴覚的威嚇(シャー音)の二重防衛になっている

シマリング(Shimmering)と呼ばれる防衛行動は、ニホンミツバチ特有ではありません
・日本みつばちを含む**東洋ミツバチ系に見られる行動
・西洋ミツバチでは基本的に見られないか、極めて稀
という位置づけになります。


シャーの違い
波動だけで音がほとんどない → 弱い警戒段階
・波動+シャー音 → 強い警戒段階(接近しすぎ)
 この段階でさらに近づくと、守衛蜂が飛び出してきます。


シマリングの特徴
・外敵(特にオオスズメバチ)が巣に接近すると、巣板上の蜂が腹部を一斉に持ち上げて波のような動きをする
・視覚的威嚇&群れの結束を誇示する効果がある
・波の連鎖は数秒ごとに繰り返され、外敵を近づけない心理的バリアとなる


なぜ西洋ミツバチでは見られにくい?
・西洋ミツバチは視覚的威嚇より直接的な攻撃行動(針や咬みつき)を重視
・進化的にスズメバチ被害が少ない地域で生まれたため、この波状威嚇の適応が必要なかった

☆ポイント
「西洋ミツバチ:直接戦闘派」
「日本ミツバチ:団結の波で威嚇派」



蜜蝋の使い方や質感の違い
・日本ミツバチ:巣板が脆く、採蜜後は再利用しにくい
・西洋ミツバチ:採蜜後も巣板を再利用できるため効率的


夏の夕方、巣門の前に整列して翅を震わせるミツバチの姿を見たことはありませんか?
これは「送風行動」と呼ばれ、巣の温度や湿度を調整するために行われています。
実は、この送風の向きには 日本ミツバチと西洋ミツバチで違い があるのです。


西洋ミツバチの送風行動

西洋ミツバチ(Apis mellifera)は、基本的に巣の中の熱や湿気を外に追い出します。
巣門に頭を内側、腹部を外側にして並び、翅を振動させることで風を外へ送り出します。
特に採蜜時には、蜜の水分を飛ばし濃縮するために欠かせない行動です。


日本ミツバチの送風行動

一方、日本ミツバチ(Apis cerana japonica)では、少し異なる姿が観察されます。
巣門で頭を外に向けて翅を震わせ、外気を中に引き込むような行動をとることがあるのです。
つまり、外へ排出するだけでなく、状況によっては外気を取り込む姿勢も見られるのです。


使い分けというより、環境適応

「外へ排出」と「内へ吸引」を明確に使い分けている、とまでは断言できません。
ただし、両方のパターンが観察されることから、

  • 夏場の高温時:涼しい外気を取り込んで巣を冷却
  • 湿度が高い時:巣の中の湿気を外に排出

といったように、環境に応じて結果的に内外の空気調整をしていると考えられます。



④ 蜜・巣の特徴比較

採れる蜂蜜も違います。
日本ミツバチの蜜は様々な花が混ざり、香り豊かで濃厚。
西洋ミツバチは単一の花から採った蜜も多く、色や風味が安定しています。
巣の作りも異なり、日本ミツバチは巣板が脆く再利用が難しいのに対し、西洋ミツバチは丈夫な巣を繰り返し使います。

蜜の風味と香りの違い
・日本ミツバチ:花の種類が混ざり、濃厚で複雑な香り。非加熱で水分が多め
・西洋ミツバチ:単花蜜も多く、色や香りが比較的安定


【まとめ】

日本ミツバチと西洋ミツバチは
見た目、生態、特殊行動、そして蜜と巣。どちらも自然の中で大切な役割を果たしています。
あなたはどちらの蜜を味わってみたいですか? コメントで教えてください♪

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