映画『名探偵コナン から紅の恋歌』登場人物と“得意札”で読む百人一首の世界
映画『名探偵コナン から紅の恋歌(ラブレター)』では、
事件の鍵としてだけでなく、登場人物の心情を映し出す存在として
「百人一首(競技かるた)」が重要な役割を果たしています。
今回は、各キャラクターが象徴的に扱われた“得意札に注目し、
和歌の意味とともに、キャラクターの想いを読み解いてみたいと思います。
遠山和葉の得意札
忍ぶれど(平兼盛)
忍ぶれど
色に出でにけり
わが恋は
物や思ふと
人の問ふまで
意味
恋心を隠しているつもりでも、顔や態度に出てしまい、
周囲に気づかれてしまうほどの想い。
和葉との重なり
平次への想いを長年胸に秘めながらも、
感情が行動や表情ににじみ出てしまう和葉。
この札は、和葉の不器用でまっすぐな恋心を象徴する一枚です。
大岡紅葉の得意札
紅葉を詠んだ歌が多いのも、名前との美しいリンクが印象的です。
山川に(春道列樹)
山川に
風のかけたる
しがらみは
流れもあへぬ
紅葉なりけり
意味
川に流れきれず溜まった紅葉の美しさ。
→ 紅葉という存在が、場の空気を支配するような圧倒的な存在感を表します。
此の度は(菅家)
此の度は
幣もとりあへず
手向山
紅葉の錦
神のまにまに
意味
捧げ物が用意できないので、紅葉を捧げる。
→ 財力・教養・立ち居振る舞いすべてが揃った紅葉の余裕と気品。
奥山に(猿丸大夫)
奥山に
紅葉踏み分け
鳴く鹿の
声聞く時ぞ
秋は悲しき
意味
鹿の鳴き声に感じる、秋の物悲しさ。
→ 強気な態度の裏にある、叶わぬ想いの孤独を感じさせる一首。
嵐吹く(能因法師)
嵐吹く
三室の山の
もみぢ葉は
竜田の川の
錦なりけり
千早ぶる(在原業平)
千早ぶる
神代も聞かず
竜田川
からくれなゐに
水くくるとは
小倉山(貞信公)
小倉山
峰のもみぢ葉
心あらば
今ひとたびの
みゆき待たなむ
共通するイメージ
- 紅葉の美しさ
- 散りゆくはかなさ
- 強く印象に残る色彩
→ 紅葉という人物そのものを、**「美しくも切ない存在」**として際立たせています。
毛利蘭が選んだ歌
めぐりあひて(紫式部)
めぐりあひて
見しやそれとも
分かぬ間に
雲隠れにし
夜半の月かな
意味
再会できたと思ったら、すぐに見えなくなってしまった。
蘭との関係
新一と会えそうで会えない、
姿が見えたと思えば消えてしまう関係性。
蘭の切なさと健気さが静かに表現されています。
工藤新一が選んだ歌
瀬を早み(崇徳院)
瀬を早み
岩にせかるる
滝川の
われても末に
あはむとぞ思ふ
意味
今は分かれていても、最後にはきっとまた会える。
新一の想い
離れていても、
必ず蘭のもとへ戻るという強い決意と希望。
理屈ではなく、心で選んだ一首といえます。
『 コナン百人一首の世界観編 』
まとめ
百人一首の歌を読んでいると、
恋や感情だけでなく、
季節や自然の移ろいが当たり前のように詠み込まれていることに気づきます。
このブログでは、
こうした日本文化の話題のほか、
植物を育てたり、自然と向き合う日々の記録も残しています。
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