映画『名探偵コナン から紅の恋歌』に登場する百人一首の意味と解説
映画『名探偵コナン から紅の恋歌(ラブレター)』(2017年公開)に登場するカルタは、
正式には 「百人一首」 を使った競技カルタです。
🎴 登場するカルタの種類
- 種類:小倉百人一首(おぐらひゃくにんいっしゅ)
- 形式:競技かるた(全日本かるた協会公認ルール)
- 特徴:上の句を聞いて、対応する下の句の札を素早く取る競技。
🏯 作中での扱い
物語の舞台は「大阪・京都」を中心に、
「皐月会(さつきかい)」という架空のカルタ会や、
京都の伝統的なカルタ大会「名人戦・クイーン戦」をモチーフにしています。
ヒロインの 大岡紅葉(おおおか もみじ) は、
京都の高校生で「高校生クイーン」と呼ばれるほどの強豪。
彼女が扱うカルタも百人一首で、特に「恋の歌」を象徴的に扱います。
💌 劇中で印象的な札
映画のキーとなる歌は以下の一首です:
しのぶれど 色に出でにけり わが恋は
ものや思ふと 人の問ふまで
- 平兼盛(たいらのかねもり)
この歌は、「恋心を隠していても、態度や顔に出てしまう」という意味で、
紅葉の想いと作品タイトル「から紅(くれない)」を象徴しています。
🏆 補足
- 実際に撮影・監修には「全日本かるた協会」が協力。
- 登場する札や取り方、掛け声(「読手」)などは実際の競技カルタを忠実に再現しています。
- 劇中に登場する「皐月会」はフィクションですが、
モデルは実際の関西の競技カルタ会だといわれています。
🎬 映画に登場・象徴的に使われた百人一首の歌
🟥 ① しのぶれど 色に出でにけり わが恋は
平兼盛(たいらのかねもり)
しのぶれど 色に出でにけり わが恋は
ものや思ふと 人の問ふまで💬意味:
恋心を隠しているつもりでも、顔色や態度に出てしまう。
人から「恋してるの?」と聞かれるほどに。
🧩 映画での役割:
この歌が映画のキーワード。
「から紅(くれない)」=紅葉(恋心)を象徴するように、
紅葉の新一(平次)への想いを表しています。
タイトル『から紅の恋歌』は、この歌の「恋」と「紅」に由来しています。
🟦 ② ちはやぶる 神代も聞かず 竜田川
在原業平朝臣(ありわらのなりひらあそん)
ちはやぶる 神代もきかず たつたがは
からくれなゐに 水くくるとは💬意味:
神代の昔にも聞いたことがないほど見事な紅葉よ。
竜田川の流れを紅に染めて水を絞るようだ。
🧩 映画での役割:
タイトル「から紅」と同じく、紅葉の赤(恋心)と秋の情景を象徴。
この歌は紅葉(もみじ)と竜田川=奈良・京都を連想させ、
映画の舞台背景(関西・紅葉シーズン)にも重なっています。
🟨 ③ 君がため 惜しからざりし 命さへ
藤原義孝(ふじわらのよしたか)
君がため 惜しからざりし 命さへ
長くもがなと 思ひけるかな💬意味:
あなたのためなら命も惜しくないと思っていたけれど、
今は長く生きて、あなたを想い続けたい。
🧩 映画での役割:
和葉の平次への一途な想いを象徴。
命がけの事件の中で「想う人を守りたい」というテーマと重なります。
🟩 ④ 逢ひ見ての のちの心に くらぶれば
権中納言敦忠(ごんちゅうなごんあつただ)
逢ひ見ての のちの心に くらぶれば
昔はものを 思はざりけり💬意味:
実際に会って恋を知った今の想いに比べれば、
以前の想いなど本当の恋ではなかった。
🧩 映画での役割:
紅葉が「平次との思い出」を語る場面や、
和葉との三角関係を暗示する恋の深まりを象徴する歌です。
🟪 ⑤ 夕されば 門田の稲葉 おとづれて
大納言経信(だいなごんつねのぶ)
夕されば 門田の稲葉 おとづれて
芦のまろやに 秋風ぞ吹く💬意味:
夕暮れになると、田の稲葉がそよぎ、秋風が芦の小屋を吹き抜ける。
🧩 映画での役割:
この歌は直接の恋の歌ではないですが、
秋の季節感と古典的情緒を持ち、
京都でのカルタ大会シーンを彩る背景的な一首として登場します。
💞 恋の歌が多い理由
百人一首の100首のうち、約半数(43首)が恋の歌。
特にこの映画では「恋の駆け引き × 伝統文化 × 推理」を融合させるため、
恋の歌が作品の世界観に深く使われています。
🎋 まとめ
登場・象徴札 | 作者 | 意味 | 関連人物 |
---|---|---|---|
しのぶれど色に出でにけり | 平兼盛 | 恋を隠せない | 紅葉 |
ちはやぶる神代も聞かず | 在原業平 | 紅葉と竜田川の美 | 紅葉/作品タイトル |
君がため惜しからざりし | 藤原義孝 | 愛のために生きる | 和葉 |
逢ひ見てののちの心に | 敦忠 | 恋の成熟 | 紅葉・和葉 |
夕されば門田の稲葉 | 経信 | 秋の情緒 | 背景演出 |